大切なのは、歯周病を放置しないこと
上のグラフは平成22年1年間に、当院で抜歯したデータ。
全抜歯のうち67%が、歯周ポケットが6mm以上になった歯でした。
歯周病は静かなる病気です。初期では痛みがほとんどありません。
気付いたときには重度になっているので厄介です。
その基準になる歯周ポケット(歯と歯ぐきの境目にある溝)は、下の図のようなものです。
図の中の棒は、歯医者でポケットの深さを測る器具(歯周探針)です。
【左上の一番大きな歯】(わかりやすいように天地逆に表示してあります)
歯周病が進行してポケットが深くなると、汚れや細菌が歯ぐきの奥まで入り込み、
歯ブラシ等でのお掃除ができなくなります。
その事実を下の写真で見てみましょう。
本物そっくりの歯の模型で、歯周ポケットのなかで汚れの溜まるところを黒く塗ってみました。
6mm以上になると歯根はかなり真っ黒です。
清潔にするのが困難になることが、わかっていただけるでしょうか!?
【左上の一番大きな歯】※汚染(黒い部分)の様子を比べてみてください。
つまり「歯周ポケットが一度でも6mm以上になる」と
抜歯に至る確率がとても高くなります
お掃除が難しい状態になると歯を残すのが困難になります。さらにそれは単なる汚れではありません。歯周病菌による細菌汚染です。その汚染は歯が抜けないように守っている歯根膜を崩壊してミイラ化します。人体において死んだ状態になったものは元には戻りません。従って「歯周ポケットが一度でも6mm以上になる」と、治療しても健康な状態への回復は不可能になってしまいます。腫れや痛みがおさまっても治ったのではありません。歯周病菌が崩壊のエネルギーをためては急性化を繰り返し、最期は抜け落ちます。